ETRTO規格輸入タイヤ 適正空気圧

　国産車が指定する空気圧とは違う！
　輸入タイヤ（アジアンタイヤや欧州タイヤ）の正しい適正空気圧を知らないドライバーが非常に多い現実があります。

「車の指定空気圧で良いんでしょ？」

　違います！！

　ETRTO（エトルト）規格の輸入タイヤは、ほとんどが国産タイヤよりも空気圧を高く設定しないといけません。
　通販で人気の中国製や韓国製など安いアジアンタイヤはもちろん、ミシュランやピレリ、コンチネンタルなど良く聞くヨーロッパタイヤメーカーも基本すべてがETRTO規格です。

　また、日本メーカータイヤであっても、XL（エクストラロード）規格を採用するタイヤや、激安通販などで売られる逆輸入タイヤ（海外向け日本メーカーの逆輸入）なども、ETRTOなので注意して下さい。

　車種ごとに運転席ドア開口部にある指定空気圧表示シールに書かれている数値は、タイヤに求められる負荷能力（耐荷重性能）を表していますが、それはJATMA規格の国内向けタイヤを基準にしており、その指定空気圧に合わせた輸入タイヤでは明らかに負荷能力不足となる場合がほとんどです。

　空気が少ないタイヤは車重や激しい動きを支える力（負荷）が足りず、車のポテンシャル（走行性能）を充分に発揮できないばかりか、常にたわみ歪んだ状態で走るためヒビ割れの発生も早く高速走行になるほどバースト（パンク）の危険が高まります。

　これは輸入タイヤの性能が悪いわけでは全くありません。使い方が完全に間違っています。

　ですから、タイヤの性能を充分に発揮し、安全で楽しいドライブを楽しむためにも、正確な空気圧を知りましょう。
　調べ方もそれほど難しくはないですし、一度確認してしまえば、その後はインチアップなどタイヤサイズを変えたり規格を変えない限りずっと同じです。

注意事項

※指定空気圧がJATMA規格で表記されている国産車と違い、海外車や日本車メーカー並行輸入車は指定空気圧表示が既にETRTO規格やその他規格で表記されている場合があります！

※エトルト規格には、「ETRTOスタンダード（STD）規格」と「ETRTOエクストラロード（XL）規格（レインフォースド[RFD]規格も同じ）」の２種類あるので、間違えないようにしましょう。
　タイヤ規格を見分ける方法が知りたい方は以下のページをご覧ください。

タイヤ規格って何？規格の見分け方は？

⇒「タイヤの空気圧チェックで多い間違いとタイヤ規格」記事こちら

　まず初めに、自分の車が指定するタイヤ負荷能力を調べます。

　それには運転席ドア開口部シールや取扱説明書から車が指定する純正タイヤサイズ表示から、荷重指数（LI：ロードインデックス）を確認します。

　例えば、上の写真のサイズ表記の場合だと「９５」が荷重指数です。

　次に車が指定するタイヤ空気圧を調べます。

　上の写真では「２１０kPa」（旧表示：2.1kg/cm2）がそうです。またここにも荷重指数「９５」と書かれています。

　既にインチアップしている方もいるかもしれませんが、カスタムタイヤの側面に刻まれてるタイヤサイズではなく、まずは必ず純正タイヤサイズを基準に調べて下さい。
　また、車種によって前輪と後輪で純正サイズや空気圧が違う場合は、どちらか一方だけでなく両方とも調べましょう。

　荷重指数と指定空気圧（例：「９５」と「２１０kPa」）が分かったら、下の「JATMA規格 負荷能力対応表」からタイヤ１本あたりの負荷能力（kg）を調べます。
（※表下に解説が続きます。）

JATMA［乗用車用-負荷能力対応表］

（単位：kg）
（空気圧：180〜250kPa）
（荷重指数：68〜116）
（※画面が小さい場合は上下左右スライド可）

　上の「JATMA規格 負荷能力対応表」から、例に挙げた荷重指数「９５」と指定空気圧「２１０kPa」の負荷能力は「６４０kg」と分かります。

（※純正タイヤが表中に明記されたサイズの場合は、そちらを参照します。）

　ここで調べた負荷能力は、対象の車がタイヤ１本に必要とする耐荷重性能ですから、その車にはどんなタイヤを選んでもこの負荷能力が必要という事です。

　車種がタイヤに必要とする負荷能力が分かったら、次に下の「ETRTO規格-負荷能力対応表」を使って、今度は輸入タイヤ（自分が実際に履く又は購入予定の）が指定する荷重指数の段から、先ほど調べた負荷能力と同等か少し大きい値を探せば、本当に必要な適正空気圧が分かります。

　つまり例で説明すると、純正タイヤと輸入タイヤのサイズ表記が同じであれば、荷重指数は例の場合「９５」なので、ETRTO規格表の「９５」の段から「６４０kg」と同じか少し大きい値を探します。

　ただし、サイズが同じでもXL規格の有無で荷重指数が違うこともあるので、必ず新しいタイヤの荷重指数を確認しましょう。
（※インチアップなどサイズ変更については次項で解説しています。）

　表は「ETRTO STD（スタンダード）対応表」（緑色）と「ETRTO XL（エクストラロード）対応表（RFDも同じ）」（赤色）の２種類あるので、間違えないように調べます。
（※さらに表下に説明が続きます。）

ETRTO STD規格［負荷能力対応表］

（単位：kg）
（空気圧：170〜250kPa）
（荷重指数：68〜125）
（※画面が小さい場合は上下左右スライド可）

ETRTO XL規格（RFD規格）［負荷能力対応表］

（単位：kg）
（空気圧：210〜290kPa）
（荷重指数：68〜130）
（※画面が小さい場合は上下左右スライド可）

　例では荷重指数「９５」と負荷能力「６４０kg」なので、９５の段で負荷能力が６４０kgと同等か少し超えた数値の列が適正空気圧です。６４０kg以下では耐荷重性能が不足してしまうので、必ず６４０kg以上の最小値を探します。

　この表から例の場合の適正空気圧は、ETRTO STD（スタンダード）規格なら「２３０kPa」、ETRTO XL（エクストラロード）規格では「２７０kPa」となります。

　どうでしょうか。例に挙げた車の指定空気圧表示は２１０kPaでしたから、適正空気圧と大きな誤差が出ました。
　つまりもしETRTO規格タイヤで２１０kPaしか空気を入れなかったとしたら、必要な負荷能力には足りずグリップ力の低下や燃費の悪化、高速走行時の耐久性の低下などに繋がってしまいます。

　タイヤが原因で起こる問題は特にスピードを出している時に発生しますから、被害も大きくなりがちです。
　輸入タイヤが本来持っている性能を充分に生かし、安全で楽しいカーライフを送るためにも、正しい空気圧を知る事は必要不可欠です。

　ちなみに、輸入タイヤ（アジアンタイヤ）でインチアップしたり、タイヤサイズを純正標準規格から変えると、必ず荷重指数が変わります。その場合でも（新しく履いた）タイヤ側面に刻まれてる荷重指数を確認し、その段から探します。

　例では純正タイヤ（215/60R16）は、荷重指数「９５」、JATMA表で負荷能力「６４０kg」でした。

　新しく履くインチアップサイズが、“225/45R17 94V XL”だった場合。

　ETRTO XL規格表の「９４」の段から、負荷能力６４０kg以上（同等）を探します。

　このようにインチアップした新しいタイヤの適正空気圧は「２８０kPa」になります。

　インチアップすると数値がいくつも出てきて複雑に感じますが、大事なのは“JATMA表で純正規格の負荷能力を調べて、ETRTO（STDもしくはXL）表でインチアップタイヤの荷重指数の段を見る”です。

※一度算出した適正空気圧は、忘れないようにシールやテープに数値を記入して運転席ドア内側面などに貼っておくと、何度も調べる手間が減っておすすめです。

おまけ：経過に合わせて微調整

　このページで算出した適正空気圧に合わせておけば、基本的に問題ありませんが、激しくインチアップした場合など、稀にタイヤ両側ブロックの擦り減りが早くなることがあります。

（注：激しいコーナリング等によるショルダー磨耗とは違います）

　その場合は、算出した空気圧より５kPaずつなど上げて、トレッド面が均一に減っていくように微調整すると良いでしょう。

　ただし、乗り心地も硬くなっていくので、好みに合わせて適切な加減を探しましょう。

　ちなみに算出が間違っていなければまず起こりませんが、適正空気圧でトレッド面中央が早く擦り減る場合があっても、空気圧を下げてはいけません。
　適正空気圧より下げれば負荷能力が足りず、バーストの危険が高くなってしまいます。

※稀に、空気圧計（メーター）が狂っていて高圧になっている可能性があります。時々ガススタ等のエアゲージが高めに設定されている事もあるので、その場合は正確に調整することで中央減りが収まるでしょう。

　おまけでご紹介しましたが、基本的に算出した適正空気圧で大丈夫です。

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