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ヘッドライトの黄ばみをクリア塗装で直す手順を解説!
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車のヘッドライトは年数が経つと、どうしても黄ばみや曇りが出てきます。
そこで安価に黄ばみや曇りを取れるヘッドライトクリーナーを使う方も多いですが、ヘッドライトクリーナーは耐久性に限界があります。
既に使った経験のある方なら、身に沁みて感じてるでしょう。
そこで黄ばんだヘッドライトを自分でクリア塗装する手順を、詳しくご紹介していきます。
ちなみに冒頭の黄ばんだワゴンRを、ヘッドライト塗装した写真がこちら。
撮影が朝と夕方なので写真の色味はちょっと違いますが、明らかにヘッドライトの色が青味がかって透き通ってるのが分かると思います。
このくらいの精度で誰でも出来ます。
って、実はこの手順は3年ほど前に既に紹介していたんですが、正直なところ試す方は少ないんじゃないかって思っていました。
なので、ヘッドライトクリーナーについて書いた記事の下の方に、ざっくりとした内容で載せてたんですね。
⇒「ヘッドライトの黄ばみ曇り取りはレンズクリーナーと塗装どっちがおすすめ?」ページこちら
(※現在はこちらにまとめたので、修正してあります)
いや内容を見れば出来るように書いてはいましたが、「細かい部分が分からない」なんて声もあり、今回こちらに書き直すことにしました。
写真も増やして、細かい部分を分かりやすくしています。
クリア塗装すればもう、新車レベルの透明感が出ます。
(新品ヘッドライトではなくクリア塗料スプレー後)
耐久性も新車と同じくらいで、5年程度は全然大丈夫という感じです。
ただしDIYで綺麗に出来るかどうかは技術と根気が少しずつ必要で、「誰でも簡単に出来る」とは言えないのがやはり正直なところです。安易におすすめしづらい。
「車いじりが大好き!」「手先が器用」なんて方なら、結構問題なく出来ちゃうとは思うんですが。
そこで自分でやる時のちょっとしたコツも踏まえて解説しました。参考になれば嬉しいです。
ちなみに今回も前回同様、ヘッドライトを車から外さずに1日掛からず施工する方法で説明してます。
一般の方には外すだけで難易度が上がりますし、脱着も入れれば1日以上車を動かせなくなってしまうでしょうから。
脱着せずの施工なら最後の塗布後30分ほど乾燥させれば、乗ることは可能です。
もちろん外せば見えない部分まで塗装できるので、「簡単に外せるよ」って方は外して行いましょう。
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樹脂ヘッドライトはクリア塗装されてる
一応簡単に説明すると、現車のヘッドライトはポリカーボネート樹脂で出来ていて、その表面にクリア塗装されています。
旧車の強化ガラス製ヘッドライトと違い、ポリカーボネート樹脂は人にぶつかった時に衝撃を和らげてくれる利点から採用されていますが、樹脂は紫外線による経年劣化で細かいヒビがどんどん入ってしまうんです。最終的に真っ白く脆くなる。
その劣化を、クリア塗料層で防いでいます。
ただし耐久性のあるクリア塗装でもやはり、紫外線で徐々に劣化していきます。
新車購入から5〜6年経ってくるとヘッドライトに“黄ばみ”や“曇り”が出てくるのは、まずクリア塗料からなんです。
今回のクリア塗装では、その劣化して黄ばんだ塗料層を削り取り、新しい塗装皮膜で覆います。
つまり樹脂本体が内部まで傷んでなければ、塗料の施工で本当に新品同様に甦ります。
ちなみに樹脂本体が劣化してると、分かりやすく“ヘアークラック(細かいヒビ)”が無数に入っています。このヘアークラックは塗装し直しても消えない。
ただこの状態でも、塗装し直すと黄ばみや曇りはかなり取れて抜群に改善しますし、それ以降本体の劣化を抑えてくれるので、断然やる価値はあります。
ヘッドライト塗装の業者相場価格
店によって変わりますが、ヘッドライト塗装を業者にお願いすると片目(片側)で1万5,000円〜が相場価格でしょう。
車種によってバンパー等を外さないとヘッドライトが外れないタイプも増えてるので、そう言った場合、脱着せずの施行だと安くなる事もあります。
それでも片目1万円〜といったところ。両側で2万円〜。
ちなみに今回の自分で塗装する費用は、3,000円〜4,000円程度です。
また、使用するクリア塗料は大体車2台分使える量があるので、2台一度に行えば費用はさらに安くなります。
1台だけの塗装でも、十分安いですけども。
ヘッドライト自家塗装で用意するもの
ヘッドライトを自家塗装するために用意するものは以下です。
・2液混合ウレタンクリア塗装スプレー
・マスキングテープ
・養生用テープやシート
・耐水サンドペーパー
・脱脂スプレー
・マイクロファイバークロス
・布ガムテープ
絶対必須のものと、無くても代用できるものがあります。
それぞれざっと説明します。
2液混合ウレタンクリア塗装スプレー
塗装し直すといっても、市販の缶スプレーに多いアクリルラッカー系の1液クリア塗料はヘッドライト樹脂に使わないように。
アクリルラッカー系は皮膜も薄く硬くなるので、樹脂のように柔軟性のある素材ではパリパリと剥離しちゃう。
プロの板金塗装業者も使う2液混合のウレタン塗料を使います。
ホルツ ヘッドライトリフィニッシャー 150ml 車 ヘッドライト用 2液性クリア塗装 キズ黄ばみ・小傷劣化したライト等に Holts MH11600
Holtsヘッドライトリフィニッシャー150ml
ソフト99 ウレタンクリアー 08006|カー用品 補修用品 タッチペン塗料(仕上げ)320ml
ソフト99ウレタンクリアー320ml
メジャーなブランドは「ソフト99」か「Holts(ホルツ)」のどちらかです。
Holtsヘッドライトリフィニッシャーは、塗った質感や色味がホント抜群で塗りやすいですが、150ml(1台分)で高価。
ソフト99の2液ウレタンクリアーは、仕上がりは普通に良く320mlでさらに安いですが、リフィニッシャーよりちょっと垂れやすい印象。
2台分塗れちゃう量。
今回はソフト99で解説してますけど、この2種ならどちらも品質は大丈夫。
ソフト99はホームセンターにも売ってます。
(HoltsウレタンクリアコートMH11603は、ソフト99ウレタンクリアーとほぼ同等)
マスキングテープ
マスキングテープは必需品です。塗装する面と塗装しない面の境を綺麗に覆うにはマスキングテープです。
スリーエムジャパン(株) 塗装用マスキングテープ1P M40J-15 15mm×18m|カー用品 補修用品 マスキング
今100円ショップでも売ってます。
養生用テープやシート
塗装は霧状の塗料を吹き付けるので、関係ないボディーやガラス面にも飛散して付着しますから、養生用テープやブルーシート、新聞紙等を使ってしっかり覆いましょう。
車長の半分程度は養生すると安心です。
ハンディ・クラウン 布コロナマスカー1100ミリ×25M 2090002003 1100ミリ×25M|塗料・補修用品 塗装用具 下地処理
養生用テープは100円ショップでも売ってますし、薄手のブルーシートはホームセンターで安く売ってます。今回の薄手ブルーシート(2.7m×1.8m)は200円ほどでした。
ヘッドライトを車体から外して行う場合、「見えない部分なら塗料が付いても良い」って方は、これらは無くても大丈夫です。
ただし、カプラー接続部など通電する部分は、セロテープ等で確実に覆うこと。そしてそれでも養生用テープは安いし、あった方が楽で綺麗ですね。
耐水サンドペーパー
劣化した古い塗装を、耐水サンドペーパーと水で落とします。
粗さは#400が1枚、#1000前後が1枚、#1500〜#2000が1枚の計3種類耐水ペーパーがあると、早く綺麗に仕上がります。
実は粗い品番1枚だけでもそれなりにはなりますが、ごく細かい気泡が残りやすく、凸凹(薄い部分と厚い部分)も出やすくなるので、1500番以上磨いておくと仕上がりがとても良くなります。
そして塗装後にコンパウンド仕上げするなら少なくとも2種類、#400〜#600で荒削りして1200番程度まで磨くのが是非おすすめ。
薄い皮膜部分にコンパウンド掛けすると、ホント薄くなっちゃいますから。
写真はたまたまホルツですけど、例えばこんなので全然大丈夫。
SK11 耐水ペーパーミニ タイスイC#セット 粒度:C#400/1000/1500|工具 紙ヤスリ・シートヤスリ
100円ショップでも売ってますが、バラ売りの耐水ペーパーならホームセンターの方が選べる品番も多く、さらに安いと思います。
脱脂スプレー
塗装前に、脱脂スプレー(シリコンオフ)で油分を除去します。
少しでも油分が残ってると塗料が弾かれて塗装皮膜が不均一になったり、密着しづらくなります。
ウレタン塗料の次に予算が掛かりますが、脱脂は是非やっておきたい工程。
中性洗剤で洗って流してもOK。ただし、洗剤は確実に洗い流すように。残ると剥離させます。
脱脂スプレーなら、拭いて乾いたら完了です。
99工房 シリコンオフチビカン|脱脂 カー用品 補修用品
ちなみにパーツクリーナーは使わないように。用途が違います。
あれは余分な成分が残り、密着が悪くなります。
マイクロファイバークロス
ワコー株式会社 いろいろつかえるマイクロファイバークロス CC33
塗装前の水気を吹く、脱脂スプレー使用時にマイクロファイバークロスが優れています。
塗装する面に細かい繊維が残らない。
普通のタオルだとどうしても繊維が残り、塗装の毛羽立つ原因になります。
マイクロファイバーを使わない場合は、塗布前にエアーで吹くと良いです。
布ガムテープ
シートや広げた養生テープをしっかり止めるのに、あると良いですよというもの。
野外塗装は急に風が強くなってくる事もあるので、布ガムテープは捲れる心配が少ない。
舞って塗装面に張り付いたらすべて台無しですから。
紙ガムテープはこびり付くので、布ガムテープが良いです。
これも100均にあります。
日当りと風と気温と湿気
DIYだと野外での作業になるでしょうから、塗装作業は日当りや風、気温、湿気といった環境が、仕上がりに影響します。
理想は、からっと天気が良い昼間の外気温10度以上で日陰です。
まず、塗装面が熱くなるような夏場の直射日光は、気泡が出来る原因になります。
逆に冬場5度以下の日陰など低温過ぎても、霜で剥離したり塗料の締まりがなくなります。こんな時は日向が良好。
また雨の直後や今にも降りそうな天候など湿気が高い状況も、スプレーの霧が綺麗に飛ばず、塗料の乗りが悪くなります。
雨の少し後の晴天や、カラッとした曇り空なら大丈夫。
風の強い日は一番注意。ゴミやホコリが塗料に付いてしまいます。
砂利の駐車場で行う場合は、タイミングが重要です。
地面に水を撒いても、遠くから砂埃が飛んでくるのはNG。
塗装中にゴミや小さい虫が付いた時は、基本、取れないと思いましょう。
吹いたばかりの塗料は粘着質なので、無理に取ろうとすると逆に塗装面に修正不可な凸凹ができます。
これらの条件が必要なので業者は屋内ブースで吹くのですが、野外だとこの辺は“運”もありますね。。
ただしこれは塗装する工程時だけ。
塗装する数時間を、良い環境で出来れば最高です。上記の条件をできるだけ揃えられると、成功確率は上がります。
1日天気が良く、風が少なそうな日を選びます。
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ヘッドライトを自分で塗装する方法とコツ
それではここから、ヘッドライトを自分で塗装する方法です。
これから説明するやり方で行えば誰でも無難に仕上がると思いますが、簡易式のヘッドライトクリーナー商品ほど容易ではないので、朝から1日みっちり費やすつもりで取り組むのがおすすめです。
スムーズに進んで早く終われば良いですが、日が沈んでしまうと出来ません。
照明を点けると、虫が凄い寄って来る。。
1、ヘッドライトを磨く
樹脂ヘッドライト塗装では、劣化して黄ばんだ古い塗装皮膜およびコーティング剤を、表面だけでなく完全に落とし、まっさらな樹脂レンズ面を出す下地処理が大切です。
黄ばみが残ってしまうだけでなく、古い皮膜が残っていると新しい塗料に反応して縮みが起こりやすく、例えると“地割れ”のような模様が出てしまいます。
剥離剤はNG。塗料を溶かす石油系溶剤は、樹脂レンズ本体を傷めるので使えません。すべて削って落とします。
業者はポリッシャーでほとんど削ってしまいますが、今回の説明では私も耐水サンドペーパー(紙ヤスリ)です。手間ですが慎重かつ綺麗に出来ますね。
まず研磨の前に、バンパーやフェンダーパネルなど周りのパーツを削ってしまわないように、マスキングテープを2列ほど貼って保護してから始めましょう。
擦ると、始めは黄色い洗い水になります。
(下に垂れてる黄色い水)
これが劣化して黄ばんだクリア塗料層の削り汚れ。
どこを擦っても洗い水が完全に白くなるまで全面を隅々まで研磨します。
そして本体樹脂面を少し削るくらいまで落とすと、流れる水の色味が全然変わります。
洗い水の白が薄くなり、カス粒子が大きくなる感じ。
擦り方は縦でも横でも円を描いても何でもOKですが、部分的に掛け過ぎず全体的に掛けます。
手で擦るだけでも大丈夫ですが、広い面は“当て木”を使うと少し楽です。強い曲面はコルク素材やゴム素材など弾力のある当て木が良い。
かなりゴシゴシ擦って大丈夫。
ヘッドライト樹脂は思ったより厚みがあるので、紙ヤスリで擦った程度ではまったく心配ありません。
ただし、400番より下の粗目で深い傷を作ると傷の除去が大変になるので、400〜600番から使います。
400〜600番の粗いペーパーで劣化した塗装層を完全に落としておきます。
(ヘッドライト右側だけ#400で研磨した状態)
後の細目は、整えるために使います。
番手を上げて擦り、ザラザラからキュッキュしてきたら次の番手という感じに#1500〜#2000までが理想。最低でも#1200くらいまでは面を整えます。
ちなみに#2000までヤスリ掛けしても見た目は白く曇ったままですが、必要以上に深い傷がなければ研磨完了です。
(#2000まで研磨した状態。白いけどこれで完了。)
このあとコンパウンド仕上げはしてもしなくても仕上がりの透明感は変わりません。
いや、逆にコンパウンド無しの方が密着が良く、経験上、保ちが良くなります。
ヘッドライトがクリアに見える一番のポイントとコツは、斜めから見た時の透明感です。
なので、コーナーや角の黄ばみを残さない事。
(端1ミリ程度は無理せず)
ヘッドライトを外さなくても、ボンネットを開けてグリル等簡単に外せるパーツを出来るだけ外してコーナーまで研磨すると、より良いです。
ですが、指が入らない奥まで無理して削る必要はありません。
そういう部分は紫外線もあまり当たりませんから、劣化(黄ばみ)も少ないです。そして隙間の奥は、上手に塗装できませんから。
2、水洗いと完全乾燥
研磨処理が終わったら、水洗いします。
細かい削りカスが残こらないように。
ヘッドライト周りの隙間に残りやすいので、ジェットノズルやホースを潰して強い水流で飛ばします。
乾燥も重要。
水分が残っていると塗料が最悪の状態になるので、脱着せず作業した場合は特にライト下部のバンパーとの隙間に溜まる水もしっかり乾燥させます。
(隙間の水分もウエス等で吸ってあげると乾燥が早い)
3、脱脂して
塗装面が完全に乾いたら、油分を脱脂します。
油分が残ってると塗料が弾かれてピンホール(穴)やムラ等ができやすく、やり直す事になります。
パーツクリーナーなど石油溶剤系の脱脂は樹脂を劣化させるので、脱脂スプレー(シリコンオフ)か、もしくは食器用洗剤を少し使うと良いです。
洗剤の場合、水洗いと一緒に行い、洗剤成分が残らないように水で綺麗に洗い流します。乾燥をしっかりと。
脱脂スプレーは塗装の直前にさっと磨けばOK。
ちなみにこの時使うタオルは、マイクロファイバークロスがおすすめ。
一般的なタオルだと細かい繊維が残るので、その際はエアーで吹き飛ばします。
4、車体を養生
車体を養生します。
霧状塗料は思ったより付着するものです。
養生シートの隙間や弛みが風に煽られて隙間が出来ないように、ガムテープでしっかり固定します。
ヘッドライトの周りは、マスキングテープでしっかり覆います。
研磨で削れてしまった場所は、上から重ね貼りでも良いので、隙間のないように。
ボンネットは開けても閉めてもどちらでも良いですが、閉めた方が養生は楽です。
エンジンルーム内のファンベルトやタイミングベルト部に掛かるとあまりよろしくないので、そこも踏まえて。
ボンネットは半開きで隙間を開け、養生テープのたるみはガムテープ等で留めてます。風が吹いても塗装部分に養生が触れないように。
5、ウレタンクリアスプレー缶の下準備
2液混合の場合、溶剤をしっかりと混ぜないと均一な品質が作れません。
スプレー缶に記載の使用方法をよく読み、2液を混ぜてから吹く前は必ず振っておきます。
(下キャップを取るとピンが飛び出てます)
(地面でピンを押し込み、逆さにして5〜10分ほど溶剤を混ぜる)
ちなみに2液ウレタンは混ぜた時点から硬化が始まるので、使用期限は12時間程度です。
なので養生も終わり、塗装直前に混合します。
冬期はスプレー缶を少し温める
外気温の低い時期に行う場合は、塗料を少し温めると柔らかく広がるので薄塗りが綺麗にやりやすいです。
温めると言っても、湯せんやストーブの前に置かないように。暖房の効いた室内に数時間ほど保管しておくだけで充分に温まります。
野外で塗布する時も、吹き終わったらスプレー缶はその都度室内に入れると良いです。
また、スプレーの吹き出し口は縦向きに合わせます。
基本、左右に動かして吹くので、塗料が縦に広がるようにです。
6、失敗しづらい塗装の吹き方とコツ
ここから塗装本番です。
塗装方法の情報でよく「垂れるぎりぎりの艶が一番いい」なんてコツを見かけますが、こういったDIYで塗装慣れしてる方は少ないでしょうから、厚塗りを狙うと高い確率で液垂れします。特にスプレー缶塗料ですし。
なので厚塗りしないやり方がおすすめです。
初心者は薄塗りを何回もを基本にすれば、まず失敗しません。そして綺麗になる。
1回目はスプレー霧の感じや塗料の付き方の感覚を覚えながら、パラッとマバラに薄く全体を吹きます。
1回目はムラになって全然OK。逆にムラになる程度しか吹きません。
これをやっておくと、初期の液垂れが格段に減ります。
樹脂と接する初回が一番塗装の載りが悪いので、薄くパラッと引っ掛かりを付ける工程。これで5分ほど乾燥させます。
2回目以降は、薄塗りといってもパラパラと粒が付くような塗り方ではなく、下地面の隙間が出ない均等な薄塗りを目指します。
(この説明写真は旧記事より)
手を動かすスピードは一定を心掛け、塗装対象物(ヘッドライト)の外から一直線状に吹き始めます。
スピードは初め速めで塗ってみて、下地が見えない程度の厚みが出る速度の感覚を覚えるようにします。
写真の矢印のように、平行に交差しないようにが基本。
1回の塗りでムラが出ても、それを無理に合わせようと無駄に吹くと垂れるので、同じところを何度も吹かず一度全体的に塗ったら次まで待ちます。
吹いてすぐは艶が出てなくても、1分ほどで馴染んで表面が変わるので、やり過ぎに注意します。
10〜15分ほど時間を開けて、8回でも10回でも毎回薄く全体的に塗り重ねていきます。
1回ずつはムラがあっても、4、5回続けると全体に艶が見えてきます。
(薄塗り5回目が吹き終わった状態。もう全体に艶が出てる。)
ちょっと多めに吹いて厚く艶が出た時は、次の間隔を20〜30分と長く取ります。
艶が出始めたら、艶の少ないところを特に意識して、やはり一直線状に薄く重ねていきます。
吹き付けの止め時が大事
塗装面の仕上がり具合(出来の善し悪し)は、止め時にあります。
全体的にテカテカと厚みのある艶が出たら、塗料がまだ残っていてもそこで終了します。止め時の見極めは吹いたすぐ後ではなく、10〜20分の時間を開けた後の状態を見て決めます。
320ml缶スプレー1本でだいたいタタミ半畳分くらいの容量だったと思いますから、ヘッドライト2台分程あるはずです。
それを一度に1台に全部使い切るには多過ぎます。
確かにスプレー缶が終わる手前の全体薄塗り1回分までは使えますが、最後の残り液は霧の粒がエアを噛んで不均等になるので気泡を含みやすくなったり吹き出したダマが垂れる原因を作ります。
また、欲張って無理矢理に最後で厚塗りし過ぎると、初めに塗った層が内部で断裂したり、重みで垂れます。
最後まで満遍なく薄塗りを徹底して、残りは捨てるのが上手くいくコツです。
ちなみに今回は1台だけだったので、塗料は余りますが11回塗布でヤメました。
どれだけ吹いても良いですが、回数を重ねるごとに塗装厚が増して垂れやすくなるので、10回前後を目安にすると良いです。
※後半は艶が増してくるので、乾燥間隔をしっかり空けます。
ただし乾燥間隔を何時間も空けるとクラックが入りやすくなります。
(ウレタンクリア塗装1回目をパラ吹きした状態)
(最終塗布の直後)
7、仕上がり
吹き終わって乾燥(硬化)させると、テカテカした艶が引き締まり、さらに透き通った表情の光沢に変わります。
最終的には充分に厚塗りなので、自然乾燥で引き締まるまで2日間ほど掛かります。その間も運転して大丈夫。
しっかり乾燥させた状態で表面の仕上がりが納得出来れば、それで完成です。
(2日間硬化後、正面)
引き締まり、深みが増す。
(2日間硬化後、アップ)
これだけでも格段に綺麗ですが、ウレタン塗料は近づいて見るとどうしても表面に、ほんのわずかな起伏(ゆず肌)が出来ます。
納得できなければ、極細目の液体コンパウンドで鏡面仕上げします。
※コンパウンドは“3ミクロン”程度と“仕上げ用”の最低2種類使用するのが理想。仕上げコンパウンドは超微粒子1ミクロン以下を使わないと、曇るので注意。
ただし、もし磨くのであれば、最低でも1週間以上は期間を開けてから磨きましょう。薄塗りでも回数が嵩めばかなり厚塗りになるので、完全硬化も時間を充分に置きます。
自然硬化の場合、表面が乾燥していても内部の完全硬化には時間が必要です。
※完全に硬化する前だと、コンパウンドで余計に荒い傷ができて白く濁り、折角の塗装が無駄になります。
ウレタン塗料はラッカーなどに比べて強固ですが柔軟な素材なので、自然硬化なら出来れば半月から1ヶ月くらい間隔を開けて、忘れた頃にコンパウンドが間違いがなく安心です。
ということで、作業経過の分かる写真をいくつか載せておきます。
(全行程施工前の黄ばみ)
(研磨完了後、塗装前)
(塗装完了の当日)
(硬化2日後)
二日経つと塗料内部が硬化して深みが増し、キラキラした光沢が出てきます。
(施行前)
(硬化2日後)
液垂れした箇所の対処法
もし万が一、液垂れしてしまったらそこで吹き付けは終わりにします。
それ以上吹いても、液垂れが悪化してデコボコが酷くなるだけ。そのために毎回薄く全体に均一を意識して塗装するのが大切です。
“全体に均一”も意識すると、薄塗りのつもりでも結構厚みが出るものなんですね。丁度良くなる。
液垂れ部分の対処法は、上記のように塗装面内部までしっかりと硬化させます。
完全硬化させると、ポコッとした液垂れの雫はかなり薄くなります。
出っ張っている液溜まり跡をカッターの腹を使って薄く少しずつ削っていきます。
必ず刃先ではなく刃の中腹部で、液垂れをスライスしてく要領です。
このとき深い傷を付けてしまうと、再度研磨して吹き直し以外にもう直せません。慎重に大まかな出っ張りを削り落とします。
次に、当て木をして#2000サンドペーパーで、残ったわずかな出っ張りを平らにします。この時の当て木は木材が良好。
そして最後に、布と液体コンパウンドで優しく表面を仕上げます。
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自分でヘッドライト塗装まとめ
自分でヘッドライト塗装の手順とコツについて書いてきました。
今回載せている写真の軽自動車は、私も皆さんと同じ道具、同じ環境でやっています。
これ、手先の器用な方なら、かなり綺麗に出来ちゃうはずです。
正直なところ、プロの業者でもヘッドライト塗装を嫌がる人は結構います。
業者の使うウレタン塗料であっても細かい気泡や塗装内部の萎縮が出来たりするんですね。
ヘッドライトは透明だから、層の内部が丸見えでしょう?
実はカラーなら見えない部分なんですよね、細かい気泡とか多少の萎縮は。
そしてボディのクリア層(表層)は、下地やカラー層があるから、そこまで厚塗りしない。
車体塗装の皮膜厚って、下地(プラサフ)まで入れても100ミクロンちょっとしかありません。
(100ミクロンは0.1ミリ)
で、今回のやり方で10回以上薄塗りを繰り返したら、間違いなく100ミクロンくらいになります、クリア塗料だけで。全部薄塗りでも、充分過ぎるくらい強固な皮膜が出来る。
ちなみにコンパウンドで磨くと、5〜10ミクロンくらい削れます。それでも100ミクロンあれば余裕ですね。
また、均一に薄塗りだと、気泡や萎縮、そして液垂れが出来にくい利点もあります。少しずつ硬めて支えてくから。
唯一の欠点は、塗装工程にちょっと時間が掛かるから、ホコリや虫が付きやすい点。
この辺は時間が短くても付く時は付く、運次第なところもありますけども。
とにかくこのやり方なら最悪の「液垂れ」にはならないから、誰もが失敗しにくい塗装方法です。後は、良い天候や場所をしっかり確保する事ですね。
参考になれば幸いです。
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