車載ジャッキ(パンタグラフジャッキ)の安全な使い方とは

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車載ジャッキ(パンタジャッキ)の安全な使い方をタイヤ交換で解説

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車載ジャッキ(パンタジャッキ)の安全な使い方をタイヤ交換で解説

 タイヤ交換を自分で行うとき、各車に搭載する車載ジャッキ(パンタジャッキ)を使う方は多いと思います。

 車載ジャッキ自体は構造も簡素で、使い方もそこまで難しいものではありません。
 ですが、部分的とはいえ1t(トン)を超える車体を持ち上げるわけですから、安全な使い方を知らずに行うのは大変危険です。

 そこでこのページでは、車載ジャッキの使い方と手順についてご紹介しています。
 安全に行う細かなコツも書いています。

ちなみに、「車載ジャッキは緊急用であって常用工具ではない」という声もありますが、使い方を知っていれば毎年のタイヤ交換も全く問題ありません。
 むしろ正しい使い方を知らなければ、緊急時に困ることもあるでしょう。

 よろしければご覧ください。

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車載ジャッキ(パンタジャッキ)の基本情報

 まず車載ジャッキ(パンタジャッキ)の基本情報です。これが分かってないと非常に危険です。

  • 名称:パンタグラフジャッキ

     電車の上にある装置“パンタグラフ”と形状が似てるため。略称パンタジャッキ。ねじ式ジャッキとも言う。

  • 用途:タイヤ交換専用

     パンタジャッキはタイヤ交換専用です。

  • 使用場所:平坦かつコンクリート(アスファルト)面

     必ず平らな場所かつコンクリートやアスファルトの上で行います。

  • 耐荷重制限あり

     車載ジャッキによって約0.8〜2.0tまで最大耐荷重があります。

  • サイドジャッキアップ専用

     1輪ずつ持ち上げるサイドジャッキアップ専用です。

 名称はともかく、これらを見て「そうなの!?」と思った方、ここで知って良かったです!

パンタジャッキはタイヤ交換専用!

 まず、車載パンタジャッキは、タイヤ交換専用です。
 オイル交換やその他の作業で使うべき工具ではありません。

 パンタジャッキで持ち上げたまま車体下に潜るなんて、絶対してはいけません。何度も死亡例がある危険行為です。

平坦かつコンクリートやアスファルトの上で

 ジャッキアップする場合、必ず平坦(水平)な場所で、さらにコンクリート舗装やアスファルト舗装された上で行います。

 車載ジャッキの落下事故の原因として、傾斜のある場所や、砂利道など、安定感の無い環境があります。

車載ジャッキの耐荷重制限

 基本的に、各車車載ジャッキはその車専用です。

 車載ジャッキそれぞれに耐荷重制限があり、各車重に合わせて設定されています。

車載ジャッキの耐荷重制限に注意

(写真は耐荷重1200kgまでのタイプ)

 また、ジャッキのサドル(車体と接する部分)形状に種類があるので、サドルと車体側ジャッキアップポイントの形状が合わないと、車体の破損や車両落下の原因となります。

パンタジャッキのサドル(車体と接する部分)形状に種類あり

 他車の車載ジャッキを、安易に流用してはいけません。

サイドジャッキアップ専用

 車載ジャッキは、1輪ずつ持ち上げるサイドジャッキアップ専用です。
 決して2輪以上同時に持ち上げようとしてはいけません。

 各タイヤ近くにあるサイドジャッキアップポイントにセットして使います。


 これらを絶対条件として、次の手順に続きます。

ジャッキアップ前の準備

 ジャッキアップする前の準備です。

  • タイヤ(ハンドル)を真っ直ぐにする
  • シフトレバーをP(パーキング)レンジに入れる

    Pレンジに入れてロックをかけます。

  • パーキングブレーキ(サイドブレーキ)を掛ける

     フット式パーキングブレーキもしくはサイドブレーキをしっかり掛けます。

  • エンジンを切る

タイヤ(ハンドル)を真っ直ぐにする

 ハンドルを切ってあると、スムーズにタイヤ交換できません。

シフトレバーはPレンジに入れる

シフトレバーをPレンジに入れてジャッキアップする

 AT車はシフトをPレンジに入れて、パーキングロックを掛けます。

 ちなみにマニュアル車の場合は、ローギアに入れてエンジンを切ると駆動輪がロックできます。

パーキングブレーキ(サイドブレーキ)を掛ける

パーキングブレーキを掛けてジャッキアップする

 フット式パーキングブレーキ(サイドブレーキ)をしっかり掛けます。

 パーキングブレーキをちゃんと効かせると、後輪タイヤ2つが固定されます。


 シフトをPに入れたりパーキングブレーキをしっかり掛けるのは、落下事故を起こさないために大変重要です。

 車載ジャッキの場合、タイヤが動かなくなることで、ジャッキ転倒の危険が格段に減ります。
 落下事故の多くは、持ち上げたタイヤ以外の接地タイヤが動いてしまうことで起こります。

車載ジャッキの落下事故には原因あり

 車載ジャッキの落下事故には、それ相応の原因があります。

傾斜のある坂道で使う

砂利の上で使う

Pレンジやパーキングブレーキを確実にしてない

 確かに車載ジャッキは常に載せておくため、車両重量やスペースを犠牲にしないように作られており、フロアジャッキ(ガレージジャッキ)等に比べて安定感が悪い点は否めません。

 ですが、しっかり手順を踏んで使用すれば、そう簡単に倒れたり車体が落下する事故は起きません。

 タイヤ交換以外で使うのは問題外ですが、正しい使い方をすれば十分安全に使える工具です。

 日頃からリフトなど油圧式を使う業者側からすれば簡素な工具と感じるところもありますが、何十年も車載工具だけで問題なくセルフタイヤ交換するユーザーは本当に多いので、安心してください。

 大切なのは、正しい使い方です。

 

車載ジャッキ(パンタジャッキ)でジャッキアップする手順

 それでは、車載ジャッキ(パンタジャッキ)でジャッキアップする手順を解説していきます。

1、対角線上のタイヤに輪止めを設置

 まず、パンタジャッキで持ち上げるタイヤの対角線上のタイヤに、輪止めを設置します。

ジャッキアップするタイヤの対角線上のタイヤに輪止めを設置

 パンタジャッキ事故のほとんどが、ジャッキの転倒です。
 耐荷重が適正なパンタジャッキであれば、ジャッキが垂直に潰れて落下する事故はまずありません。

 そのため対角線上のタイヤに輪止めを設置すると、パンタジャッキの倒れる危険度が格段に下がり、安全性が高くなります。

 近年は車載工具に輪止めが標準装備された車種も増えていますが、「Pレンジ」や「パーキングブレーキ」にプラスして、「輪止め」がぜひオススメです。

 ちなみにジャッキを下げると輪止めにタイヤが乗って取れない事があるので、タイヤ装着後のジャッキダウン前に輪止めを外すとスムーズです。

2、パンタジャッキの設置

 次に、パンタジャッキの設置についてです。

 車両の側面下部の各タイヤ近くに、サイドジャッキアップポイントがあります。

サイドジャッキアップポイントにパンタジャッキを設置

 国産車の場合、多くは側面下部がレール状になっており、ジャッキアップポイントには“切り欠き”等の目印があります。

サイドジャッキアップポイントの切り欠き目印

(目印の切り欠き)

サイドジャッキアップポイントの凸マークとレールの出っ張り サイドジャッキアップポイントのレール出っ張り目印

(車種によって凸マークやレールの出っ張りが目印の場合も)

 ジャッキアップポイントについて詳しくは、各車両の取扱説明書に図入りで解説されているので、必ずそちらも一読してください。

 ジャッキアップポイントの真下にパンタジャッキを立てて置き、ジャッキのサドルがジャッキアップポイントのレールと噛み合うように、手で回してジャッキを伸ばします。

手で回してジャッキサドルがジャッキアップポイントのレールと噛み合うよう設置

 このとき、ジャッキは車両方向と直角に据えます。

車両方向と直角にパンタジャッキを設置

 よくある失敗として、サドルとレールが噛み合わず、レールを潰してしまう事があります。
 サドルとレールが噛み合うことで安定感が増すので、確認しながらしっかり噛み合うまで手回しします。

 あとは付属のハンドルを使って、タイヤが地面から少し浮くまでジャッキアップします。

必要以上に車体を持ち上げない

 ジャッキアップは、必要以上に車体を持ち上げないようにしましょう。

 パンタジャッキが高く伸びればそれだけ不安定になって転倒しやすくなり、落下した際の被害も大きくなります。

ジャッキで車体を必要以上に持ち上げない

(タイヤが2〜3cm浮いた状態)

 タイヤ交換作業は、タイヤが数cm浮いていれば出来ます。

 そして手動のパンタジャッキなら、たくさん上げるより楽ですね。

3、ナットを緩めるタイミング

 ホイールナットを緩めるタイミングについて。

 キツく締め付けてあるナットは特に、ナットを緩める際にレンチを回す力が大きくなり車両全体が揺れるため、現行の各車取扱説明書の多くは、ジャッキアップする前にナットを1/2〜1回転ほど緩めておく事が推奨されています。

 これは、ジャッキアップした状態で車両を揺らすと、パンタジャッキが転倒する危険があるからと考えられます。

 ただし、ジャッキアップせずにナットを緩めると、ホイールが動いて車体側ボルトとホイール穴が少なからず傷みます。

テーパー状のナットを締め付けてホイール穴とボルトをセンタリングする

(ナットがテーパー状になっているのは、ホイール穴とボルトに数ミリの隙間があり、ホイール穴のど真ん中にボルトを固定するため。)

ホイール穴とナットとボルトの断面図

(ジャッキアップせず緩めると、ホイール穴とボルトが接触する危険あり)

 また、タイヤが着地しているとナットに負荷がかかった状態なので、ナットを緩めるためにより大きな力が必要になります。

 ではなぜ推奨されているかといえば、不特定多数への解説として、多少のダメージよりも安全性を優先した結果でしょう。

レンチを上に回す方法がおすすめ

 ここからは自己責任として、私の方法をご紹介します。

 私の手順は、ジャッキアップしてタイヤが少し浮いた状態でレンチを上に向かって回す方法です。

ジャッキアップしてレンチを上に回す方法が揺れが少ない

 パンタジャッキは左右の揺れに弱いので、レンチを上に引き上げて回すことで揺れを抑えることができます。

パンタジャッキは左右の揺れに弱い

 コツとして、すべてのナットを1/2〜1回転緩めるまで、ナットを外さない事。
 もし万が一、ジャッキが倒れてもナットが付いていればタイヤで着地して、被害を最小限に抑えられます。

 ちなみに「Pレンジ」「パーキングブレーキ」「輪止め」を確実にした上で、レンチを上に回すこの方法では、これまで何十年も問題が起こったことはありません。

タイヤが共回りしてしまう場合

 大抵の車種は「Pレンジ」「パーキングブレーキ」を確実にすることで、4輪がロックされますが、唯一、FR(後輪駆動)車だけは、前輪がロックされずレンチと一緒に共回りしてしまいます。
 これは、FRベースのパートタイム4WDも同様です。

 そのため共回りしてしまうFR車は、ジャッキアップしてタイヤが浮く少し手前でナットを緩めます。

 タイヤが地面と接しているので共回りせず、そして浮く少し手前なのでボルト・ナットへの負荷も最小限に抑えられます。

 ちなみにタイヤ交換後は、浮いた状態で出来るだけ仮締めしておき、ジャッキを少し下げてタイヤが軽く接地したら本締めします。

 そして再度ジャッキアップして浮かせ、タイヤを半周回してジャッキを少し下げ、増し締めすることで、すべてのナットをバランスよく締めることができます。

トルクレンチを使うと分かる

 本締めと増し締めはトルクレンチを使い、過剰に締め過ぎないようにしましょう。

本締めと増し締めはトルクレンチを使い、締め過ぎない

 トルクレンチを使うとよく分かりますが、ジャッキを下げてタイヤを接地させた状態で本締めしても、再度ジャッキアップしてタイヤを半周させてから増し締めすると、規定トルクまで締まっていないナットがあるんです。

 これは、ナットがちゃんと締まっていない状態でタイヤを接地させると、車重による負荷で遊びやズレができて、正しいトルクで締め付け出来ないから。

 共回りしてしまうタイヤでは、半周回して最低2回締め付けが大切です。


 ちなみにトルクレンチは、定期的な校正が必要な精密な測定器なので、信頼のある商品がおすすめです。

 プロの現場で多く使われるのは、信頼の東日ブランド

 精確かつ作りがしっかりして、抜群に使いやすい。さすが東日。

 トルク調整範囲:40~200N.m。
(※ソケット別売)


 安価ながら定評があるのは、大橋産業のトルクレンチ。

 17・19・21mm肉薄ソケット付きで、すぐ使えます。
(※トルク調整範囲:30〜180N.m)


インパクトレンチは過剰トルクに注意

 仮締めをインパクトレンチで行うと、共回りせずにかなりしっかり回せるので、2回締め付けが不要な場合もあります。

 ただしインパクトレンチは、簡単に過剰トルクまで回せてしまうので、加減が必要です。
 トルクレンチと合わせて加減を覚えるとよいでしょう。

 エアーインパクトを使ってる方は少ないと思いますが、充電インパクトドライバーがある方は、ソケットビットがあればナットの脱着が簡単かつスピーディーになるので、重宝します。

インパクトレンチは過剰トルクに注意

(だいぶ使い込んでます・・)

 ビットを使用するインパクトドライバーは、インパクトレンチより加減しやすく、タイヤ交換でも活躍します。

 ビット強度はそこまでないので、硬いナットを緩めたり、本締めには基本使えませんが、それでも作業効率が格段に上がります。早い。

充電インパクトドライバーとソケットビット

 大抵どのホイールでもノーマル丈ビットで大丈夫ですが、あまり深リムなホイールでは、ロングビットを選ぶと良いでしょう。

 よく使う19mm、21mmノーマル丈ビットがこちら。

 21mm用ソケットビット。
本締めには使えません。

 19mm用ソケットビット。
本締めには使えません。

 充電インパクトドライバー本体がない方には、こちらがおすすめ。

 信頼のmakitaインパクト本体、バッテリー2個、充電器、ケースのお得な本格セット。
 ちなみに私のマキタももう10年以上壊れず使ってます、さすが凄い。。

 14.4Vですが最大締付けトルクは145N.mで、ナットの脱着はもちろん、大抵のDIYでもパワフルに使い倒せます。

4、外したタイヤを車体下に入れる

 万が一、タイヤを外した状態で車体が落下した時に、被害を最小限に抑えるため、外したタイヤを車体下に入れることが推奨されています。

ジャッキアップして外したタイヤを車体下に入れる

 ジャッキダウン時は、忘れずにタイヤを抜きます。

 これは、最悪の状況を避けるための手段であり、落下させないことが大切です。

 注意点として、タイヤを寝かせて隙間に差し込む際、タイヤをジャッキにぶつけて押し倒さないようにします。
 また、ホイール形状によっては、ホイールリムが地面に擦れて傷む可能性があるので状況に応じて使い分けましょう。

車載ジャッキ(パンタジャッキ)まとめ

 車載ジャッキ(パンタジャッキ)の安全な使い方と正しい手順について、細かく解説しました。

 ちなみにタイヤナットの締め方は、以下ページをご覧ください。



 最近、「パンタジャッキは緊急用で常用すべき工具ではない」といった情報がちらほら見られたので、「こうすれば全然大丈夫だよ」という意味もあって記事にしてみました。

 だってそんな危険な工具なら、車載工具として長年採用されないでしょう?

 そして昔からパンタジャッキで問題なくセルフタイヤ交換してるユーザー、本当にたくさん居ます。しかも世界中に。

 もちろんパンタジャッキで車体下に潜るとか絶対ダメですし、タイヤ交換以外の用途も使用不可ですが、正しい手順を踏んで安全に使えば、そう簡単にジャッキが倒れる事故は起きませんから。

  • 平らな硬い舗装の上で行う
  • シフトレバーをP(パーキング)レンジに入れる
  • パーキングブレーキ(サイドブレーキ)を掛ける
  • 輪止めの設置
  • レンチを上に引き上げナットを緩める
  • ジャッキを必要以上に伸ばさない

 こういった点に注意して行っていただければ、まず問題なくタイヤ交換できます。

 ちなみに、パンタジャッキが故障する事も当然あります。どんな工具だって耐久性がありますから。

 ただ、タイヤ交換だけであれば、どんな車種でも10年程度は普通に使えます。
 夏・冬タイヤの年2回の4輪分で、年間8回の上げ下げなら10年でも80回程度ですから、多少プラスαを考慮してもたかが知れてます。

 セダン車や軽自動車なんかは、20年でも全然使えちゃうのが一般的。

 早く壊れる原因の多くは、規定以上の重量を持ち上げたり、タイヤ交換以外の使用頻度が多い、傾斜地で使うなど、がありますね。

車載ジャッキが壊れたら

 車重があるミニバンや大型SUVは負荷が大きいので、セダン車や軽自動車に比べて壊れやすいですが、壊れる場合は、徐々にネジが硬く回りづらくなって来るので、そうなったら交換しましょう。

パンタジャッキのネジが削れて硬く回らなくなる故障

(ネジ山が削れて、硬く回りづらくなる症状)

 価格は、純正新品でも5,000円前後、社外品なら数千円で買えます。

 社外品を買う場合は、純正と同等かそれ以上の耐荷重性能を選び、サドル形状は純正と類似したものにします。
 車載するためには、収納場所に入るか(合うか)どうかサイズも確認しておきましょう。

 以上、車載ジャッキ(パンタジャッキ)についてでした。大切な愛車と命を守って、良いカーライフを!

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